やちむん=焼き物の中心地、那覇・壺屋にある育陶園は、約300年の歴史がある壺屋でも老舗の窯元。
魚や植物の伝統的模様が施された食器やシーサーなど定番のやちむんから、現代の食卓にも馴染むデザインまで、幅広いシリーズが育陶園では制作・販売されています。
育陶園の食器をお料理教室(お料理教室の様子はコチラから)で使わせていただき、お料理教室終わりのその足で壺屋へ向かい、育陶園を訪問。
工房を見学させていただいたあと、育陶園が運営する陶芸道場で陶芸体験をしてきました。
<もくじ>
1.育陶園の工房見学
2.育陶園の陶芸体験道場で土いじり
3.おわりに ―やちむん通りへいくなら―
1.育陶園の工房見学
壺屋の中心となるやちむん通りの筋違い、軽自動車1台が通るのがやっとの細い道沿いに育陶園の工房はあります。やちむん通り沿いの店舗からは歩いて2~3分、外観はまるで一般の民家のようで、入り口には人懐っこいわんこが2匹。人が近寄ると静かに近寄ってしっぽを振っていました。
工房の中に入ってみると、黙々と作業する職人さんとその周りに作成段階の陶器が長方形の板の上にズラリと並べられています。
通り沿いの席では器の絵付けをする女性が3名、その反対側ではシーサーの形成をしています。
部屋の奥のほうではろくろを回している方がいます。
ときたま、陶器を乗せた板を担いだ職人さんが工房を行き来します。
静かな工房の中、ちょっとした気のゆるみで服かなにか引っかけて大惨事でもおこしてしまうのではないかとドキドキ。
「さっき使ったお皿はこの職人さんたちの手で作られたものなんだな」と改めて認識しました。
最初部屋の横のスペースには、さらに陶器がずらりと並べられています。
その手前にことさら大きく、龍の装飾がほどこされた作成段階の壺。
伝統工芸士でもある六代目陶主高江洲忠さんの作品です。そして傍らにご本人!
まだ素焼きもしていない段階ですが、その大きさや装飾の緻密さからすでに”すごい感じ”がしてきます。今度行う展示会の作品だそう。
「これも何かの拍子にひっかけたら大事故だ…」とドキドキしているさなか、陶主の高江洲さんは壺の表面を撫でながら、板にならぶ大量の丼をさしてお話ししてくれました。
「空港のロイヤル(那覇空港2階のフードコート)のお椀さ。バイトくんがいっぱい割ってくれるから年中作ってるよ、あはは~冗談さ~」
あぁなんてフランク!
勝手に気負いすぎて冗談にうまく反応できなかったあの時の自分が悔やまれます。
シーサーを作っている男性もしかり、本当にフランク。
もくもくと作業する様子後ろから見させてもらったところ、いまやっている作業からの説明から、シーサー作りについて丁寧にお話してくださいました。
シーサーは、まず型抜きをしておおまかな形を作ります。
型抜きされた”のっぺり”シーサー。口を開けているか、閉じているかなんとなく分かりますね。
こののっぺりシーサーに竹串で目鼻立ち、毛並みを加えていくのが職人の仕事。
シーサーの顔が勇ましく様変わり。額の「王」の字が育陶園のシーサー♪
工房のお隣のアパートは、シーサー作り専門セクション。
牧志駅ちかくにある「うふシーサー」も育陶園さんが作ったそうです。
本当に普通の家のようですが、右もシーサー左にもシーサー。
食器棚のなかにぎっしりとやちむん。
職人さんがこんなにお話ししてくださるとは、思わず拍子抜け。
アットホームな雰囲気と、手から物が生み出される現場。普段はなかなか見られない工房見学は、かなり有意義な経験でした。
2.育陶園の陶芸体験道場で土いじり
工房から歩いて1~2分ほどの場所に、陶芸体験ができる育陶園の「陶芸体験道場」があります。
建物のまわりには大小さまざまなシーサーがいて、窓・戸を開け放した道場はとても開放感があります。
さっそく道場の中へ。
メニューを大きく分けると、ろくろ体験とシーサー作りの2種類。基本はどれもひとり¥3,240。
ろくろ体験はコップを作るかお椀を作るかを選び、さらにオプション(¥1,080)で焼き上がりに職人さんに模様を入れてもらうこともできます。釉薬のオプションはありませんでした。できあがりの陶器の色はみんな茶色です。所要時間はだいたい30分。
模様のサンプルがたくさん並んでいました。
シーサー作りは、立ちバージョン、お皿バージョン、お面バージョン、の3つから形を選びます。シーサー作りの所要時間は60~70分。
焼き上がりは約1か月後とのことなので、作品は郵送してもらうことに。
送料は送付先や重さによりますが¥1,000から。出来あがったら取りに来ることもできます。
最初に清算を済ませてからさっそく陶芸体験です。
今回、私はろくろでコップ作りをする事にしました。エプロン(借りられます)をつけてさっそくろくろへ。
ろくろの上にはすでに粘土がセッティングされていて、足元のペダルを踏んでろくろの回転をあげます。
手に水をつけて回る土に手をあてます。うねうねとした感触はまるで生き物のようです。
コップ作りは、まず高さを作って穴をあけながら形を作っていきます。
焼き物は、窯に入れる前後で約20%大きさが変わる(縮む)とのこと。
20%縮むことを考慮して、大きめに作らなくてはいけません。
高さを出すのは割と簡単。両手で土を包み、少しずつ狭めていけばいいのです。高さがでたら、穴を開けていきます。
焼き物の形を決めるのはこの穴あけの行程。
指を土のてっぺんから突き刺し、ある程度の深さまでいったら穴を広げていきます。
少し力を入れすぎただけで土がみるみる歪み、修正不能な場合はまた1からやり直しです。
逆に力を入れられないと、いつまでたっても形が作れません。
思い切りと慎重さの両方が必要になる行程でした。
途中、木の板で内側を平にならしながらなんとか成形完了。
ちょっと早く終わったので、シーサー作りをしている知人を冷やかしに。
職人さんがマンツーマンで教えてくれるので、見本に飾ってあるようなシーサーがちゃんと出来あがりつつありました。
みんなできた!
大きさ、形、微妙にちょっとずつ違ってそれぞれの特徴がまたおもしろい。
反対に、同じ大きさ・形の食器を手作りする職人さんて本当にすごいなぁ。
作品が届くのが今から楽しみです。
3.おわりに ―やちむん通りへいくなら―
陶芸体験を終え、やちむん通りの育陶園(販売店舗)へ。品のある素敵な食器やシーサーが販売されています。
さっきお邪魔した工房の皆さんが作ったもの。これほどまでに均整のとれた形を手で作れるなんて、これぞ職人技!工房見学をしたおかげでシーサーや食器を見る目が変わった気がします。
やちむん通りに行くなら、工房見学を一緒にするとおもしろさが倍増!
育陶園では、一般の方の工房見学も受け入れられているので、もし興味があれば事前に電話かやちむん通りのお店で問い合わせてみてくださいね。
〇育陶園本店 営業時間 9:30から18:30 休み 年中無休 住所 沖縄県那覇市壺屋1-22-33 電話 098-866-1635 ※工房見学の問い合わせは育陶園本店へ 〇kamany 営業時間 10:30から18:30 休み 年中無休 住所 沖縄県那覇市壺屋1-22-37 電話 098-911-6664 〇guma guwa 営業時間 10:30から18:30 休み 年中無休 住所 沖縄県那覇市壺屋1-16-21 電話 098-911-5361 〇体験道場 営業時間 10:00から17:00 休み 年中無休 住所 沖縄県那覇市壺屋1-22-33 電話 098-863-8611(直通) 098-866-1635(代表) |