沖縄はアメリカとの縁が深く、その影響を受けた独自のカルチャーが数多くあります。
その1つとして挙げられるのが、“古着”。
なかでも、US古着(アメリカから仕入れた古着)の流通量は多く、値段も本土より安いといわれています。
そのため、古着屋さんの話によると多くの古着マニアがこぞって沖縄まで出向く時代もあったとのこと。
今回は古着初心者も上級者も楽しめる沖縄の古着屋、“FISH BOWL”で色々なお話をお伺いしてきました。
では、奥深い沖縄古着の世界へレッツゴー!
—目次—
1.安い! 面白い! アメリカンな雰囲気が漂う古着屋“FISH BOWL”
2.お店ではなくオーナーのファンになるかも? オーナーインタビュー
3.沖縄ラボライターがチャレンジ! 古着のコーディネート
4.沖縄古着の世界を堪能してみませんか?
1.安い! 面白い! アメリカンな雰囲気が漂う古着屋“FISH BOWL”
FISH BOWLは1997年10月に浮島通りで営業を開始し、今では県内外問わず多くのお客さんが訪れる人気の古着屋になっています。
↑店構えはこのような感じ。軒先のラックにはセールアイテムが並べられている。
ローソン国際通松尾店の横手にある路地に入り、道沿いに歩けば約3分で到着します。
ゆいレールの牧志駅、美栄橋駅、県庁前駅の各駅からも徒歩で約10分の距離に位置します。
オーナーの石原一郎さん自らアメリカのシカゴで買い付けを行っており、店内にはメンズ・レディーズ・キッズ古着のほか、雑貨や洋書の絵本などなど、個性的なアイテムがずらりと並んでいます。
それでは、お話を伺ってみましょう。
2.お店ではなくオーナーのファンになるかも? オーナーインタビュー
―――はじめまして。早速ですが、古着屋を始めたきっかけを教えていただけますか?
ノリ!いや、嘘(笑)。
元々、学生の頃にアメリカにずっと住んでいて、その際に古着のバイヤーを始めて……そこからかな。
北谷(ちゃたん)のナイトフリーマーケットがあるけど、当時はもっとすごくて、夜な夜なお客さんもいっぱい歩いていて。
沖縄に一時的に帰ってきたとき、そこで自分の集めたものの販売をずっと続けていてね。
28くらいのときに沖縄に帰ろうと思って、手っ取り早く古着屋をやろうかなって。
それで、ここにFISH BOWLを立ち上げて……スタートはそこだったね。
↑古着以外にも缶バッチなどが売られている。1つ200円で、企業系、キャラクター系、ロック系などジャンルも豊富。
―――どうして古着の世界に入ったのですか?
なんでだろうね……。元々、学校の専攻が油絵だったのね、自分。
色々なものを書いたり、色をつけたりするっていう。
で、同じものがいくつもサイズ別で並んでいるのって面白くないなと思って、それよりも古着の方が色んなバリエーションもあって楽しい。安いしね。
やっぱり、1つのものに何万円も払うよりは、色んなものがあって安い方がいいな、って。
古着にも高いものはあるんだけどね。
アメリカで買い付けしていると、色んなものがたくさんあって楽しいんだよ。
↑ミリタリー系やキャラクター系、ロック系などのワッペンも豊富に取り扱っている。
―――シカゴでの買い付けは具体的にどのような感じで行っているのですか?
リラックスして自分なりに面白いと思うものを探していく。
それを買い付けてきて、こういうのあるよってお客さんに紹介するのが楽しい。
昔は古着屋を2店舗も3店舗もやっていたから、是が非でもかき集めなきゃいけないという事情があって、古着が面白くなくなっていったのね。
でも今は、楽しみながら買い付けしたほうが、自分なりに良いものを買えると思っているから無理はしない。
そうすると、気持ち的にも体力的にも余裕が出てきて、思いもよらない面白いものとかを買い付けできるんだよ。
そうしたら、お客さんも面白いかなぁ、と。お客さんにこんなものもあるんだとか、それを見せてあげたいのね。
あとアメリカっていう文化の紹介もしたいから、服だけじゃなくて雑貨もあるし本とかも置いているし、これからはもっと色んな幅広いものも置いていきたいかな。
FISH BOWLでは面白くて安いものを提供したいから、それが楽しみになっているかな。
常連さんとかになると、買い付けしながらこのアイテム絶対あの人好きだな、とかわかってくる。
そういうのも楽しみながら買い付けできるから楽しいよ。
↑レジ付近にあるショーケースには、ヴィンテージなバックルやファイヤーキングのマグなどが並べられている。
―――お客様をすごく大切にされているのですね。
お客さんとのやりとりが楽しいし、お客さんにも個性がある。
やっぱり古着屋に来るお客さんは面白いものとか、ほかの店に売ってないものとかを探しにくるんだよね。
古着屋をやる楽しみは、そっちにもあるかな。お客さんが楽しんでいるのを見るのも楽しいし。
FISH BOWLには子ども服もあるから、家族連れも入ってくるし、おじいちゃんやおばあちゃんも結構入ってくるのね。孫のためだったりとか、自分のために買っていったりとか。
若い世代から年配の世代までもっともっと来て欲しいなと思うから、頑張ってやっているよ。
お客さんから、なにかたくさんあって面白そうと思ってもらえるのが一番嬉しいかな。
なんか、宝箱みたいな。
高いものが1個売れるより、安いものをたくさん買ってくれた方が自分は嬉しいし。
↑洋書コーナー。絵本が多く、子どもの英語教育にピッタリ。
―――FISH BOWLでは、主にどのようなアイテムを集めているのですか?
今、お店としては80年代とか90年代ぐらいのアイテムを出したいなと思ってるよ。
自分はバスケをやっているし、好きだからバスケものとかスポーツ系を並べたいなと思う。
↑シカゴでの買い付けということもあり、店内にはマイケル・ジョーダンなどNBAグッズも多くある。
あと、最近はなんか世の中が暗いなって勝手に思っているから、明るめで元気の出るようなアイテムを並べたいかなとか思っている。
柄とか原色系とか。自分のなかでの80年代のイメージ、映画の“フラッシュダンス”とか“フットルース”とか、そういうノリ。
その映画のなかの洋服ではないんだけれど、そのときの勢いが感じられるようなアイテム。
そういうものをもっと入れていきたいなと思ってる。
買い付けに行ったらLevi‘s501とか定番ものは集めてくるけど、でも大体はそのときのノリだよ。
だから、毎回やっぱり仕入れるアイテムは変わるかな。
そのときに面白いって思ったら、全然今まで取り扱っていないアイテムも買ってきて並べるし。
今年のノリは、もうイメージ的にいったら関西のおばちゃん、ヒョウ柄みたいな。
↑80年代の柄ものアイテムが並ぶ店内。
―――結構、変化していくものなんですね。古着屋さんはこだわりの強い人が多いイメージですが、一郎さん自身はそういうものはありますか?
自分に対しては、あんまりこだわらないかな。
例えば古着屋さんだったらオシャレでヴィンテージの高価なもの着ているみたいなイメージあるかもしれないけれど、そういうのは全然ない。
自分が着るのは、穴が空いていてシミがあってお店では出せないもの。
雑貨とかおもちゃとかレア物とかもお店には置いてあるけど、家には1つもないからね。
でも、お店に置いてあるもののなかで今は売りたくない、売り物じゃないですってものもあるよ。
映画の“グレムリン”に出てくるギズモのぬいぐるみとか。
↑帽子と一緒に宙吊りになっている大量のギズモたち。
全然高いものじゃないけど、ただ単に好きだから。
ギズモだらけにして、ヘヘヘって、いっぱいいるなーって思いたいだけ。それくらいかな、売り物にしないの。
でも、それも途中で気が変わるかもしれない。
ほかの人が欲しいんだったら譲るよっていう方向になるかもしれないけど。
だから基本的にお店に置いてあるものは、ほとんど売り物。
―――では、そのなかでもオススメのアイテムを教えてください。
柄パンとか、面白いかもね。いわゆるアメリカのパジャマパンツなんだけど、こういうのもいいかなって思うよ。
夏だったらちょん切って短パンにしちゃってもいいかなと思うし。
そしたら、切った分の生地をまた使えるでしょ?
そういうのも、もっと入れたいかな。
あとはオススメというか……オリジナルTシャツはもっと売っていきたいなと。
沖縄にくる観光客にガンガン買って欲しいね。
今は2種類のデザインがあるけど、今年はあと1、2種類作ろうかなという予定。予定は未定だけどね!
↑FISH BOWLオリジナルTシャツ。ポップな絵柄のメキシカンドクロが可愛い。
↑FISH BOWLオリジナルTシャツ。ネイティブ島人(しまんちゅ)とインディアンをかけあわせたユニークなデザイン。
――オリジナルアイテムも可愛いですね。
一応、ドクロのほうは帽子の柄をね、ちっちゃくてわかりにくいけどハイビスカスにしてる。
気付かないと思うんだけど。沖縄っていうより、琉球って言葉を使いたい。
インディアンデザインのTシャツにも沖縄じゃなくて琉球と使っていて……また次もそんな感じにしたいかな。
―――今後、沖縄でどのような活動をしたいといったビジョンはありますか?
沖縄でフリーマーケットのイベントとかやりたいね。
ただ、やっぱり1人でできるものではないから、ほかの古着屋さんとまとまって動かないといけないけど。
小さい規模でやっても面白くないから、やっぱりある程度大きなものにしたいかな。
沖縄で古着屋をやっているメンバーって自分なりの個性を持っているから面白いし、ちょいちょい集まって飲みに行くこともあるし。
沖縄旅行がてら古着を買いに寄ってくれる人もいるけど、やっぱり少ない。
沖縄の古着屋さん自体が減っているから。どうにかしなきゃいけないじゃないけど、古着屋をやっているメンバーと協力して、もっと沖縄の古着屋は楽しいよっていうところを知って欲しい。難しいけどね。
でも映画の衣装協力とか、ファッションショーみたいなイベントでの衣装協力とかもしているので。
スタイリストの人とかも、たまにくるし。
そういうのと繋がることも面白いかも。何かしらの形で面白さが伝わればいいんじゃないかな。
―――ぜひ、今回そういったことを紹介させていただきます! 最後に、観光客の方へのメッセージをいただいてもよろしいですか?
古着っていったら「新品より落ちる」みたいなイメージがあるかもしれないけれど、FISH BOWLは古着でも汚れていたり穴空いていたりとかって程度が悪いっていうスタイルでやっていない。
全然悪くないものを売っているので。
入ってくれるだけでも嬉しいし、別に買わなくても大丈夫。
確かに買ってもらったら嬉しいけど……来てくれないとお店を気に入ってもらえるかわからないじゃない?
1回、2回と立ち寄ったうえで買ってもらえるのも嬉しい。だから、まずは見てそれで楽しんでほしい!
―――ありがとうございました!
最後にはノリノリでポーズをとってくれた一郎さん。
インタビュー中は冗談も交えながら古着への熱意を語ってくれて、時間が経つのがとても早く感じました。
本当にユニークな方で、疑問などにも丁寧に応えてくださいます。
アイテムはもちろんですが、一郎さんの人柄もFISH BOWLの大きな魅力ではないでしょうか。
3.沖縄ラボライターがチャレンジ! 古着のコーディネート
今回は、一郎さんのご厚意で古着コーディネートにもチャレンジさせてもらいました。
モデルは筆者に付き添って取材を行った女性ライターです。テーマは、“古着×スポーツMIX”!
↑色々試行錯誤しましたが、最終的にこのようなコーデになりました。
↑全身図
↑Tシャツとスカートのみ
OUTER:ノーブランド ジャージ(UESD)……2,100yen
TOPS:NikeTシャツ(USED)……1,100yen
BOTTOM:ノーブランド ケミカルウォッシュスカート(USED)……1,000yen
OTHER:ライター私物
今回選んだ3アイテムのトータル額は、なんと4,200円! とってもお安い!
色んな商品を手に取ってみましたが、どれも質がよくて安いものばかりでした。
本土の古着屋さんと比べると、1/2~1/3の値段というアイテムも……。
こんなに安い値段で、採算がとれるのか不思議に思うレベルです。
ちなみに、モデルとなったライターは古着屋に初めて訪れました。
「古着屋はリサイクルショップみたいなイメージがあったけれど、全然違う。
こんなに面白いところだとは想像していなかった」というのが取材を終えた感想です。
「個性的なアイテムを安い値段で手に入れたい」、「古着初心者で不安」という方にもうってつけのお店ですね。
4.沖縄古着の世界を堪能してみませんか?
今回、惜しくもご紹介できなかったお話やアイテムもまだまだ数多くあります。
↑ベストやスウェットなど古着の定番アイテム。
↑宙吊りになっている帽子。NBAやNFL、MLBなどのアイテムが多い。
↑Levi‘sやLEEなどのパンツも、当然揃っている
沖縄旅行の際には、ぜひ古着屋FISH BOWLへ足を運んでみましょう!
気さくなオーナーと、素敵な古着がお出迎えしてくれます。沖縄独自の古着文化をご堪能あれ!
FISH BOWL
■ 住所:〒900-0014 沖縄県那覇市松尾2-5-27
■ TEL:098-866-9650
■ 平日:13:30~20:00
■ 土日祝日:12:00~20:00
■ 定休日:不定休
■ URL:http://fishfishfish.ti-da.net/