沖縄の道を歩いていると、至るところで目にする「シーサー」。
沖縄のみならず、いまや全国的にも名の知れている伝説の生き物ですよね。
ライオンにも狛犬にもよく似ている「シーサー」。
ですがじっさいどんな生き物なのか、ちゃんと知っている人は少ないのではないでしょうか?
今回はそんな「シーサー」について、改めて深堀調査してみました!
知ってるようで知らない、「シーサー」の謎に迫ります。
(※なおシーサーの由縁については諸説あり、これが正解というものはありません。沖縄ラボ編集部が調査した限りの情報をお届けしています、あしからずご覧くださいませ。)
<目次>
1. 改めて「シーサー」とは何モノなのか?
2. 「シーサー」の正しい置き方知ってる?
3. おわりに
1. 改めて「シーサー」とは何モノなのか?
シーサーとは、沖縄に古くから伝わる守り神。
そのもとを辿ると紀元前のスフィンクスにまで渡る、とも言われています。
シルクロードを経て13~15世紀頃に中国から伝来したそう。じつは気が遠くなるほど昔から、シーサーは存在していたんですね。
名前の由来はシーサーの原型となった獅子(しし)が沖縄の方言によって、シーサーと言い換えられたことがはじまり。
石垣島などある八重山地方では、シーシーとも呼ばれていますよ。
主に家の守り神・魔除けの役目をはたしていて、沖縄県民の多くの家屋に設置されています。これはご存知の方も、多いかもしれませんね。
①日本に残存する最古のシーサーの起源「富盛の石彫大獅子」
日本に残存する最古のシーサーの起源と言われる石獅子が作られたのは、今からさかのぼること300年以上も前の1689年。
当時沖縄南部の八重瀬町では火事が相次ぎ、町民は途方にくれていました。
そこで風水師に相談したところ、獅子の像を作って元凶である八重瀬岳の方角に設置すれば収まると助言を受けたのです。
教えを受けた町民たちは風水師の言う通りに作り、しかるべきところに設置したところ本当に災いが収まったそうです。
もともと火にまつわる災いから守ってくれる守護神だったシーサー。
それからというもの沖縄には悪い邪気から身を守る役目として、自然とシーサーを置くことが習慣に。
このシーサーは「富盛の石彫大獅子」と呼ばれていて、今でも八重瀬町の公園内で見ることができるんですよ。
年月が経っているせいかシーサーというより、丸みをおびてぬいぐるみみたい。じつは県の指定有形民俗文化財にもなっていて、一見する価値アリ!
現代主流となっているシーサーは少し強面で、神社にいる狛犬にも見えますよね。
諸説ありますが、中国から伝来した獅子の神様という説が最も有力。ちなみに沖縄中部の読谷村には日本最大のシーサーなんていうのもいますよ。
人間と比較するといかに大きいかが、分かります。
②シーサーの種類
©OCVB
単にシーサーと言っても、種類は大きく3つ。
魔除けよりも権威の象徴としてお城などに設置される宮獅子。富盛の石彫大獅子のように村や町を守る、村落獅子。
そして最も世間に広まっているとされているのが、家庭用の家獅子です。
家の中・前・門など様々な箇所に置かれていますが、中でも特徴的なのが屋根の上にいるシーサー。
庶民が瓦葺き屋根を持つことが許されるようになった、明治時代以降に作られるようになりました。
屋根の上のシーサーには漆喰・陶器のものがあるのですが、漆喰のものは屋根職人さんが最後の瓦葺きの仕上げの際にサービスで作ったことが発端となっているそうですよ。
ちょっとした職人さんのサービス精神がきっかけとなって、今も文化として残っているのですね。
次項では、そんな守り神シーサーの正しい置き方をお教えします。
2. シーサーの正しい置き方って知ってる?
シーサーは一体だけでなく、対にして2体で置くのが一般的。口を開けているものが雄・口を閉じているものが雌になっています。
口を開けている雄は沖縄の悪霊であるマジムンを追い払ったり噛みつき、口を閉じている雌は幸福を呼び込み今ある幸せを逃さないような役割。シーサーを正面に右側にオス、左側にメスを置くことが正しいとされています。その際の方角は鬼門(=邪気がやってくる道)である北東。また火の被害から家を守る場合は、南に置くと大きな効果を発揮すると言われていますよ。
家の外に置くにしても中に置くにしても、置いておく場所を綺麗にしておくことがポイント。
シーサーをモノではなく、神様として扱うことによってより一層の効力を発揮させてくれることでしょう。
屋根の上に乗せるシーサーを置く際は1体、口の開いたオスのシーサーを置いてくださいね。
3. おわりに
ひとえにシーサーと言ってもその種類は様々。沖縄発祥なのかと思いきや、エジプトのスフィンクスにまで時代をさかのぼるとは意外でしたね。
今や沖縄の街中どこでも見られるシーサーですが、ちょっとした背景を知っておくことでより興味深く感じるかもしれません。
作り手さんの顔を表すとも言われているシーサー、ぜひ次回の沖縄旅行の際はじっくりと観察してみてはいかがでしょうか?