沖縄本島から西へ約100kmの久米島は、1周約48km。
車でなら1時間足らずで回れるほどの小さな島です。
そんな久米島でオススメしたい観光手段がポタリング。ポタリングとは2~3キロほどの自転車散歩のことを意味し、普段スポーツをしない方にも気軽に参加できるアクティビティなのです。
「歩くにしては苦痛だけど、車だと何だか物足りない・・・。」
そんなワガママな思いにも、自転車ならまるっと解決してくれますよ。
今回はポタリング初挑戦となる筆者が参加してきた様子をリアルにレポート。
レンタカーでは知りえないような、島の見どころをご紹介します。
<目次>
1. AM8時集合!レンタサイクルを借りてみよう
2. いざ出発!島の文化を学びながら観光名所を巡る
3. おわりに
1. AM8時集合!レンタサイクルを借りてみよう
今回参加したポタリング「島人と巡る自転車ツアー」は、地元の方のガイドが付いて、1人あたり5,000円(税込み)。
ガイド代のほか、レンタサイクル、ヘルメット、保険料に500mlのペットボトルのお水込みのお値段です。
動きやすい格好であることは必須ですが、あくまで観光が目的なので、初心者でも気軽に参加可能できますよ。
参加した日は1月の中旬。集合時間は早朝8時でした。
今回ガイドを担当してくださる平良さんとご挨拶をし、さっそくレンタル。
「自転車に自信がない人は、緑の方が良いよ~」とアドバイスをいただいたので、緑の自転車をチョイス。
一般的な自転車に見えますが、すべてスポーツタイプ。
ハンドル部分にギアがついていて、坂道と平地で負荷の調整ができます。
自転車を決めたらヘルメットを着用しましょう。
後ろの黄色いネジを回して、頭のサイズに合わせてくださいね。
自転車を選んで、ヘルメットの装着が完了したらいよいよ試乗!
ホテル前で軽く何周かして、体慣らし。
ここまでのプロセスが終わったら、いよいよポタリングのスタートです。
2. いざ出発! 島の文化を学びながら観光名所を巡る
コースのテーマは「久米島昔ながらの路地裏ポタリング」。
出発地のホテルから最終目的地の市場を経由し戻ってくるまで、約2時間半かけじっくりまわっていきます。
2-1 集落編~島の文化を学びながらぶらり散歩~
いざホテルを出発!しばらく広がるさとうきび畑の道。
「ザワワザワワ」という歌が今にも聞こえてきそう。
積み上げられているのは、収穫されたサトウキビ。右が機械で刈ったもので、左が人の手で刈られたもの、こうしてみると長さが全然違うのが分かります。
ちなみに切られた断面が空気に触れにくい左のサトウキビの方が、フレッシュな状態を保ちやすいのだそうです。
自転車を走らせること10分弱。
最初のチェックポイントは赤いサンドバッグみたい。何だか分かりますか?
こちらは使わなくなったガスボンベを縦に吊るしたもので、叩いて島民を呼び集める鐘の役目を果たしていました。音の回数によって何のイベントか、判断していたのだそう。昔の人の知恵を感じられます。
目的地へ向かう途中、随所で見た「石敢當(いしがんとう)」と書かれた石。
これは悪霊が集まりやすいと考えられている、道の交差点や角に置かれていて、いわばお守りのような役目を持っています。
昔中国から伝達した文化が、いまなおこうして沖縄に根付いているのです。
「石敢當」と書かれていなくても、しかるべき場所に石が配置されていれば、その役割をはたすとのこと。もはや普通の石との見分けがつきません(笑)
日頃なら気にもとめないマンホールも、久米島デザインを見ると特別な気分に。どれも車で通っていたら、なかなか目に付かないよな~。
久米島の集落にはまだまだフクギが残ってて、昔の沖縄の雰囲気に浸ることができます。
中でも有名な「チュラフクギ」はチェックポイントの内のひとつ。
県道を拡張するために大部分が伐採されてしまったのですが、それでも堂々とたたずむ並木。樹齢は200年以上で、県の天然記念物にも指定されています。
比較的車が多く通る道なので、撮影には十分注意してくださいね。
コースには含まれていませんが、立派な赤瓦のお家も外から拝見させていただきました。
平良さんのご友人の校長先生のご自宅なんですが、こんな伝統的な家屋に普通に住んでいるということに驚き!
集落ラストのチェックポイントは「天后宮(てんごうきゅう)」。
天后宮とは航海安全の神様をまつる寺院、なぜここに現れたのでしょう?
時はさかのぼって18世紀、中国から冊封史を乗せた船が難破したのを島民が救助。そのお礼として中国からプレゼントされたものだそう。
久米島にそんな歴史があるなんて知らなかったな~。
ここまででおよそ1時間、まだまだポタリングは続きます。
2-2 久米島観光スポット編~久米島紬ユイマール館・ポイントピュール~
集落をひと通り見てまわったあとは、久米島の観光スポット巡り!
最初に訪れたのは、先ほどの天后宮から5分の「久米島紬ユイマール館」です。
久米島紬とは琉球時代から島民によって作られている絹織物で、国の重要無形文化財にも登録されている伝統工芸品。
「久米島紬ユイマール館」では、展示資料館で歴史を学んだり、織り・染め体験を通して久米島紬に触れることができます。
今回はあまり時間がなかったため、展示資料室のみの見学。
色とりどりの生糸はすべて、久米島で採れる天然素材を用いたもの。
木の幹や泥を煮出して染めて、独特の色合いを作り出しています。
デザイン決めから織りの作業まですべてひとりの職人が行う、久米島紬。
骨の折れるような職人さんの努力があってこそ、今なお受け継がれているんですね。
作業部屋では、現在でもおよそ90名の方が作品を作っています。
じっさいにユイマール館で作品を購入することはできますが、すべて手作業ということもあり、さすがに手が出せないお値段でした。
ユイマール館をあとにし、続いて訪れたのは「ポイントピュール」。
1階では海洋深層水と沖縄県産の天然素材を用いたオリジナル化粧品の販売が行われ、2階ではサンプルのお試しができるブース、3階はサーターアンダギーや飲み物がいただけるカフェになっています。
じっさいに2階では、クチャという泥を使ったパックを体験。
左手がパックを塗ったあとの手で、右手が何もしていない手。
クチャには皮脂についた汚れを吸着して、取り除いてくれる効能があるのだそう。これだけ顕著に結果がでると、買いたくなってしまいます。
思わずコスメに夢中になっていたら、既にセリの時間に間に合わなそう、とのこと。名残惜しい気持ちを背に「ポイントピュール」をあとに。
ギアを最大に切り替え、出せる限りの力を出して市場へ向かいましたが、既にセリはおわっていました・・・。
久米島のセリは10時ころに始まるのが一般的。
卸ろしを仲介せず、セリ権を持った料理人の方が直接仕入れにくるところも久米島ならではの特徴です。ホテルの食事って味気ない気もしますが、こういうお話を聞くとホテルでの食事も楽しみになってきます。
料理長と観光客が一緒にセリを見学して、そのお魚で夕食を作ってもらうプランもあるのだそうです。その日の朝に捕れたばかりの地の魚がいただけるなんて、とっても魅力的だな~って思いました。
市場出てすぐの民家の軒先にあった、スイジガイ。
こちらも沖縄では古くから魔除けとして、飾る習慣があるのだそう。
お守りの役目を果たすのは、シーサーだけではないようです。
来た道を戻りながら自転車をこぐこと15分弱、2時間半のポタリングを満喫したのでした。
3. おわりに
はじめての経験となるポタリングでしたが、自力で観光する範疇では気付くことのできない「久米島の魅力」を知ることができました。
中でも集落を巡るコースは、車でなら通りすぎてしまうトコロに目を向けたり、島民が過ごしている様子を目の当たりにしたり。
ガイドさんの説明が加わるとより深く理解することができますよ。
今回筆者が参加させていただいたコースのほかにも絶景めぐり・体力に自信がある方向けなどなど種類はさまざま。
ガイドブックにはのっていないような久米島を知りたい方、ぜひ参加してみてはいかがでしょうか。
<アクティビティ詳細> ポタリング 所要時間:約2時間半 催行人数:2名~ 対象年齢:中学生以上 料金:5,000円(1名様・税込) ※ガイド代・レンタサイクル代・保険料込 集合場所:リゾートホテル久米アイランドホテルロビー 受付時間:9:00~18:00 ※要前日予約、天候によっては中止になる場合もあります |