いまも素の沖縄の美しさが多く残る「久米島」 。他の著名な沖縄の離島とは一味違い、穏やかで落ち着いて旅を楽しめるのが魅力です。
今回ご紹介する「ゲストハウス想生-sou-」は、そんな島旅を楽しみたい方にもってこいお宿。宿泊スタイルは古民家へホームステイをする感覚 で、ホストとゲストの距離感を楽しみ、島の味覚が詰まったフルコースや朝食に舌鼓を打つ。なんということはない時間も贅沢に思えてきます。
久米島の原風景に包まれて。沖縄の伝統を感じる古民家に宿泊
「ゲストハウス想生-sou-」は、島のほぼ中央部にある具志川集落に位置しています。島を巡るメイン道路沿いではありますが、サトウキビ畑と緑の多いのどかな集落。セメント瓦の古民家は、沖縄の懐かしい原風景を思わせる趣深い佇まい。
ホストであるオーナー・大竹さんは基本敷地内にある離れ棟にいますが、浴室・おトイレは共用です。 ホストとゲストの距離は近いものの、物腰柔らかで温かなオーナーのお人柄が心地よい安心感を与えてくれます。お宿は1日1組限定、オーナーが受け入れ可能な日程のみ予約が可能。ゲストは建物の一角にある9畳の和室に滞在します。室内は年季を感じる空間ながら、手入れが行き届いており、快適に過ごせます。
チェックイン後、しばし談笑しながらオーナーが客室に続くダイニングキッチンで夕食の仕込みを始めました。後ほど詳しくご紹介しますが、「ゲストハウス想生-sou-」の醍醐味は、オーナー自ら提供する手料理にあります。
久米島のリゾートホテルで3年間修業を重ね、寮では離島留学生のために料理も作っていたオーナー。かつては料理の素人だったそうですが、今ではパスタを一から作ったり、地元食材を活かした本格的な一皿を作り上げる料理人です。
飾らない久米島の美しさ。穏やかなひとときが心を満たす
「ゲストハウス想生-sou-」には、素朴で穏やかな島時間が流れています。周囲を散策しながら、離島ならではの旅情に身をゆだねるひとときが、何とも特別。お庭にいる猫の名前はノラジョーンズ。オーナーと一緒に暮らす元野良猫です。
何もないことが、何か心地よい。それを感じさせてくれる周囲の風景風に揺られているサトウキビの穂の先には、パステルカラーの空と綿あめのような雲。日常の喧騒を忘れ、デトックスさせてもらえるような感覚を味わいました。
「宿の裏に続く砂利道を少し上がると、海に沈む夕日が望めるんですよ。」
オーナーから教えてもらい、足を伸ばしてみると、ちょうど沈みゆくノスタルジックな風景が広がっていました。この一瞬に立ち会うだけで、今日一日が幸せだったと感じられる気がします。
古民家で味わう至福のフルコース。島の恵みが織りなす美味しさ
オーナーが提供する料理は、まるでレストランで楽しむコース料理のようなクオリティです。
写真は「イカ墨を練り込んだタリオーニ 車海老とメカジキ、島蛸のペペロンチーノ」。久米島ならではの食材を使用し、パスタも一から手作り。イカ墨のコクと塩加減が絶妙で、車海老と蛸のプリプリとした食感がアクセントになっています。今まで私が味わってきたイカ墨パスタの中でも、No.1の美味しさでした。
続いては「久米島赤鶏の腿肉のロースト バルサミコのソース」。約100日間、ストレスフリーな環境で育てられた赤鶏は、大きくプリプリとしたジューシーな肉質が特徴です。火入れの加減が絶妙で、鶏本来の旨みが引き出されています。さらに、自家製のバルサミコソースのアクセントも素晴らしかったです。
夕食はこれだけではありません。島野菜のズッパ、人参しりしりラペ、ズッキーニのフリッタータ、豚もつのフィレンツェ風煮込み 春菊のサルサヴェルデといった前菜や、デザートの黒糖とナッツのセミフレッドまで、贅沢なコースが並びます。
内容は季節やその日によって異なるため、どんな一皿に出会えるかという期待感も、「ゲストハウス想生-sou-」の大きな魅力の一つです。
島の恵みが詰まった朝の食卓。お腹も心も満たされる時間
さらに、朝食も贅沢な内容です。土鍋で炊き上げた久米島産のお米に、あおさやもずくがたっぷり入ったお味噌汁を中心に、地元の味覚が並びます。
黒みつ醤油を使った納豆は、控えめな塩味に甘さとコクが加わり、ご飯がどんどん進む新感覚の一品。アカマテの味噌漬け焼きは、絶妙な味噌の染み具合と香ばしい焼き加減、ホロホロと崩れる柔らかな身が感動的な美味しさでした。
旅先で暮らすように過ごす。心が温まる「ゲストハウス想生-sou-」
「リゾートでは味わえない、暮らしに寄り添う滞在を楽しんでほしい」と語るオーナーの大竹さん。温かく軽やかなコミュニケーションが魅力的で、年の近い筆者にとってはまるで友人の家を訪れたような穏やかな時間を過ごせました。
ホストとゲストの距離が近いからこそ生まれる、心に残る特別な体験。「ゲストハウス想生-sou-」でぜひその魅力を味わってみてください。
- 住所
- 沖縄県島尻郡久米島町具志川659−3
- TEL
- 080-9542-5343
- イン/アウト
- 15:00/10:00
- 備考
- 寝間着・アメニティは基本各自にてご用意ください。※タオルのみ貸し出しあり
日本深掘りサイクリスト・フォトグラファー 土庄雄平
1993年生まれ、愛知県豊田市出身。同志社大学文学部文化史学科・英文学科卒。サラリーマンの傍、自転車旅&登山スタイルで、日本各地を駆け巡るトラベルライター。 四季折々の日本を五感で捉え、発信しています。