那覇市の隣町である浦添市に、首里城よりも前に琉球王国の中心となった城が残っていることはご存知でしょうか?その城とは「浦添城跡(うらぞえじょうあと)」です。
王宮が首里城に移される前、13世紀〜15世紀の200年余り、3つの王統(国王の血筋)にわたって、琉球国中山(ちゅうざん)の居城となりました。とても広い史跡ですが、見所やアクセスなどをご紹介したいと思います。
ゆいレール「浦添前田駅」から徒歩約10分
浦添城跡があるのは、浦添前田駅から徒歩約10分の場所。
浦添前田駅は首里城最寄りの首里駅の3つ隣の駅。
那覇観光の足として欠かせない「ゆいレール」ですが、浦添市まで一本で運行しているのはありがたいですね。
城跡は車がないと訪れるのが難しいスポットが多いですが、浦添城跡はゆいレールと徒歩でアクセスすることができます。
途中の駅で立ち寄りながら観光も楽しむなら、ゆいレールの1日乗車券(800円)を購入するのもおすすめです。
今でも発掘調査を継続中!南側から浦添城跡へ
「浦添城跡」は浦添大公園として整備されている公園の一角にあります。
とても敷地が広いですが、散策を楽しむなら南のエリアがおすすめです。浦添前田駅から10分弱歩くと、公園の南にある”エントランス管理事務所”に到着します。その上へ続くスロープを歩くと、公園に入ることができますよ。
筆者が訪れた時には、入り口の壁に調査中の城壁が露出していました。なんと2022年10月から発掘調査が行われ、2024年1月現在もまだ継続しています。この城壁はなんと600年前のものだそうで、浦添城復元の大きな手がかりとなる遺構とのこと。公園として整備されている中でも、まだ眠っている歴史があるとは何だかロマンが感じられます。
浦添城跡まで上がると、絵になる風景と絶景パノラマ
石畳道を歩き、浦添城前の前を通過したら、いよいよ城跡へと入っていきます。城の頂上付近は木々が生えておらず、空を背景にすると、とても絵になる写真が撮れますよ。また振り返れば、那覇の町から沖縄らしい綺麗な海を一望するパノラマも見事です。
広場に到着後、舗装されている道を少し北側に歩くと、浦添城の見事な城壁へたどり着きます。しかしなんと、こちらはレプリカです。かつて第二次世界大戦の沖縄戦のあと、城壁の石材が持ち出されてしまいましたが、残っていた切石を生かして復元しています。
城壁を過ぎると展望所へ。標高約130mの琉球石灰岩の丘陵に位置する「浦添城跡」は、東シナ海や遠く読谷(よみたん)まで見渡せるロケーションを誇ります。沖縄本島を一望するこの絶景は、城が全盛の時代から健在です。
琉球王国の繁栄を思わせる大スケールの「浦添ようどれ」
浦添城跡を観光する際に、必ず立ち寄りたいスポットが「浦添ようどれ」です。城壁のレプリカ近くから階段を降りると辿り着くことができます。浦添ようどれとは、英祖王と尚寧王が一族と共に葬られている琉球王国の陵墓です。
同じく沖縄戦で大きな被害を受けたのですが、戦後の発掘調査の後、現在の姿まで復元されました。調査結果から最初の造営は13世紀ごろと考えられ、まさに琉球王国の威容を物語るスケールを備えています。
こうして歩いてみると、これまで幾度もの発掘調査を経て、現在の浦添城跡の景観が作られているのですね!琉球の歴史に思いを馳せることができる場所であるのと同時に、今後どのように復元されるか楽しみなスポットでもあります。ぜひ那覇観光から少し足をのばして、浦添城跡を訪れてみてください。
- 住所
- 沖縄県浦添市仲間山川原
- 備考
- アクセス:ゆいレール 県庁前駅(国際通り)~浦添前田駅 片道340円 約21分
車でお越しの場合は浦添城跡駐車場の利用がおすすめです。
日本深掘りサイクリスト・フォトグラファー 土庄雄平
1993年生まれ、愛知県豊田市出身。同志社大学文学部文化史学科・英文学科卒。サラリーマンの傍、自転車旅&登山スタイルで、日本各地を駆け巡るトラベルライター。 四季折々の日本を五感で捉え、発信しています。