山原工藝店(やんばるこうげいてん)は、大宜味村にある「やんばるの工芸」が集う店舗。やんばるで活動する作り手の作品が展示・販売され、作り手さんとお客様を繋いでいます。
流派では無く、地域に主軸をおき作り手・作品を集っているため、店頭に並ぶ作品は形も趣もまさに多種多様。
また山原工藝店がのれんを掲げる「場所」も注目ポイント。「廃校となった小学校」の一角を活用するという、ユニークな活動にも心くすぐられてしまいます。
この記事では、山原工藝店の店内や、廃校となった小学校の様子、アクセスについてお届けします!
1.山原工藝店へ行ってきた
2.やんばるの工芸家たち
3.工芸体験や展示イベントも
4.アクセス
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1.山原工藝店へ行ってきた
山原工藝店があるのは大宜味村の集落内。廃校となった旧喜如嘉(きじょか)小学校で営業してます。
喜如嘉小学校は2016年に廃校。2023年から喜如嘉小学校改め「喜如嘉”翔”学校」として活用の道を歩みだしました。
旧喜如嘉小学校は当時のおもかげを残し、外観はこどもたちが通っていたときと変わりありません。いたるところに学び舎の名残があり、ノスタルジックな世界へと誘われます。
喜如嘉翔学校としての現在は、「山原工藝店」を筆頭に、陶芸工房・ハンモック屋さん・映像屋さん・地元の高校と民間企業がタッグを組んだ研究企画の拠点など、多様な事業者が入居する施設となっています。
旧喜如嘉小学校時代「職員室」だった場所が、山原工藝店の店舗です。山原工藝店を含めどの部屋も入口が独立しており、直接入っていくつくりとなっています。
店内にはやんばるの作り手さんが、丹精込めた作品がズラリ。手に取って買い物を楽しむことができ、自分へのご褒美として購入するのはもちろん、大切な人へのプレゼントとして利用されているとのこと。
靴箱があったり、小学校時代の什器をそのまま使用するなど、当時の様子が随所に感じられます。
2.やんばるの工芸家たち
山原工藝店で取り扱っている作品の中から、5つの工房さんをご紹介します!
「螢窯」は、珊瑚やリーフをモチーフに大宜味村で作品作りを行う作家さん。展示されていた青いお皿はまさに海がそのまま器になったようです。そんな独創的な作品は評判を呼び、ホテルのレストランなどでも使用されているそうです。
ご夫婦で工房を営む「紅型工房ひがしや」は「紅型」がテーマの作家さん。活動のメインは琉球舞踊で使用する衣装作りですが、「古典柄」と言われる受け継がれてきた紅型の柄をキーホルダーなど日常でも使える作品作りを行っています。
「藍染工房亞人」は、今帰仁村を拠点とする藍染作家さん。染色に必要な「琉球藍」を自家栽培していて、製藍、染色まで一貫して行う一方、そのデザインは都会的な感性すらも感じられます。
「オサム工房」は、大宜味村に工房をかまえる木工作品の第一人者。材料となる木は、「調達する」のではなく、「オサムさん、この木使って」と、台風で倒木したものや、山で伐採したものが「集まる」というエピソードを持っています。材木を磨ききるのではなく、あえて元の木の姿を一部に残し、木の魂が器にも宿っているような気さえしてきます。
大政は大宜味村で「日常使い」できるお皿やコップなどを作る作家さん。同じものを作るのが苦手=手がける作品は一点物という作風に根強いファンがついています。
ここで挙げた作家さんはほんの一例。店頭に並ぶのは素敵な作品ばかりで数十の作家さんが山原工藝店に関わっています。
「工芸」というと、カタいイメージというか、つい身構えてしまいそうになりますが、シャツといったカジュアルな作品があるのも山原工藝店ならでは。「作り手」にフォーカスを当て、気軽に工芸品を楽しめるスポットです。
3.工芸体験や展示イベントも
山原工藝店では通常の作品展示・販売だけでなく、テーマを設けた企画展も開催しています。作家さんをテーマにしたものや、工芸のジャンルを絞って行うなど、2ヶ月に1度くらいのペースで行っているとのこと(取材時には「紅型」の企画展が開かれていました!)。
ユニークなのが、ピンク展やグリーン展と言った色をテーマにした企画展を開催するなど、工芸のジャンル・流派の垣根を超えたテーマは山原工藝店ならでは。足を運ぶ度に違う企画展が開催していたりするので、行くのが楽しみになります。
また、工芸体験も不定期で行っていて、「見る」だけでなく手を動かして工芸に触れられるのも特徴的です。今後は定期的に開催できるよう準備中とのこと。さらに、工芸を深堀りできる施設になる展望にますます楽しみです。
4.アクセス
山原工藝店は、那覇空港から車で約2時間30分。大宜味村の集落内に店舗を構えています。国道58号線を北上し「芭蕉布会館」と記された看板を右折。
10秒ほど車を走らせると、同じく「芭蕉布会館」の正方形の看板が右手に見えてくるので、そちらを右に曲がります。
そのまま道なりに進み、車を約3分走らせると、右手に旧喜如嘉小学校の校門が見えてきます。これで到着です。校門から車で入り坂を上っていくと右手に駐車スペースがあるので、車はそちらに停めましょう。
- 住所
- 沖縄県国頭郡大宜味村喜如嘉2083
- TEL
- 0980-43-0898
- 営業時間
- 11:00~18:00 火曜定休
おわりに
「沖縄は工芸が盛んな地域にも関わらず、作品に触れられる場所が少ない」
不定期で開催する工芸のイベントに関わっていた経験から、常に工芸に触れられる場所を作りたいとの想いでスタートした山原工藝店。そんな想いが詰まった店舗で沖縄土産を探してみるのも素敵な体験になるはず。
旧喜如嘉小学校の活用についても、これからの未来予想図にワクワク。2025年中には宿泊施設を設ける予定とのことで、さらに面白くなりそうな予感です・・・!