「やちむん」とは、沖縄の言葉で焼き物のこと。おおらかで素朴な風合いがあり、生活用品としてはもちろんのこと、今では人気の観光土産になっています。そんな沖縄生まれの器のギャラリーや工房が結集しているのが、やちむんの里。緑が広がるのどかな里で、心なごむ器を探してみませんか。
<もくじ>
その1.やちむんの里ってどんなところ?
その2.まずは、やちむんの里をぐるっと探検
その3.お気に入りのやちむんを探してみよう!
その4.やちむんの里に行ったら、何食べる?
その5.その他、知っておくべきやちむんの里のこと
おわりに
その1.やちむんの里ってどんなところ?
やちむんの里は、読谷村にあるやちむん(焼き物)の産地。1974年に人間国宝の故・金城次郎氏が、那覇市壺屋より読谷村へ窯を移したことで発展しました。緑あふれるこの地には現在、ガラス工房一軒を含む16の工房が点在。職人の手から生み出される作品は、どれも個性豊かで温かみのあるものばかりです。
那覇から国道58号線を北上した読谷村の山中にある工芸村。緑あふれ、そよぐ風が気持ち良くスローな沖縄を味わうことができます。
その2.まずは、やちむんの里をぐるっと探検
やちむんの里では、職人による創作と生活が一体になった村づくりがおこなわれています。点在しているギャラリーや工房では、職人たちが作陶に励む様子の見学が可能(見学不可のところもあるので、事前に確認しましょう)。また、直売店もあるので、気に入った焼き物があればその場で購入することもできます。その他、赤瓦の大きな焼き窯など、沖縄らしい風景の中を散策するのは、焼き物に興味が無い人でも十分楽しめるはず。
©OCVB
沖縄らしい風景が広がるのどかな村。敷地内に駐車場があるので、のんびり歩きながら器めぐりをしましょう。
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やちむんの里は読谷壺屋焼、読谷山焼、読谷山焼北窯の大きく分けて3つの窯からなります。この登り窯は読谷山窯。火が上に登っていくような造りになっているそう。
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土をこねてろくろで成形し、じっくりと乾燥。工房の前には、色付け前のまだ焼いていないお皿が並んでいたりします。
やちむんの里の生みの親、人間国宝の故・金城次郎氏の窯は、現在その一門が引き継いでいます。金城氏は沖縄初の人間国宝として、県内で一番有名で親しまれている陶芸家。今なおファンが多いのです。
その3.お気に入りのやちむんを探してみよう!
お気に入りの一点モノを探すながら、実際に各ギャラリーや工房を訪ね、見て触れて選ぶのがとっても楽しい。その場で購入できるところをいくつかご紹介します。
読谷山焼共同売店(よみたんざんがまきょうどうちょくばいてん)
共同窯でやちむんを制作している4つの工房作品を割安で販売しています。店内を埋め尽くすように並ぶ作品は生活用器が多く、安いものだと500~2,000円ほどで器や茶碗を購入することが可能。赤瓦の風情あるたたずまいも必見です。
TEL:098-958-4468
営業時間:9:30~18:00(冬期は~17:30)
定休日:火曜
読谷山焼北窯売店(よみたんざんやききたがまばいてん)
読谷山焼北窯の4つの窯元の器を購入することができます。伝統的な模様のものからアート性の高いものまで、幅広い作風の違いを楽しんでください。写真は沖縄の酒瓶、カラカラとお猪口。
TEL:098-958-6488
営業時間:9:30~17:30
定休日:不定休
ギャラリーうつわ家
読谷壺屋窯元、島袋常秀さんのギャラリー。
色とりどりの現代テイストを取り入れたかわいい器がたくさん。皿やお茶碗、味噌汁やソバのお椀など、幅広い器を取り揃えています。
TEL:090-1179-8260
営業時間:9:00~18:00(日曜は10:00~)
定休日:不定休
陶器工房 壹(とうきこうぼういち)
独自の技法を用いて美しい作品を生み出す若手作家、壹岐幸二さんの工房兼ギャラリー。
毎日使っても飽きない器は、形も大きさもさまざま。
シンプルな作風で人気を呼んでいます。
TEL:098-958-1612
営業時間:9:00~18:00
定休日:日曜不定休
その4.やちむんの里に行ったら、何食べる?
せっかくなら、ステキなやちむんに囲まれてランチやお茶がしたいですよね。やちむんの里には、軽食と喫茶が2軒あります。そこで沖縄そばやお茶をするのも良し、しっかり食べたい方は、車で5分くらいのところにある読谷村共同販売センター内にある食堂がおすすめです。
ギャラリー・喫茶 まらなた
やちむんの里の中にある食事処。ギャラリーが併設されており、約60人の陶芸家の作品を手に取って見ることができ、購入も可能です。喫茶でいただけるのは、沖縄の太陽の恵みを受けて育った自家製野菜を使ったメニューや甘味。ギャラリーからセレクトされた器に盛り付けます。
テーブル周りに置かれているたくさんのやちむん。素朴で、見ているとほっとする日常使いの器が揃います。
とってもステキな器に入ってくるアイスコーヒー。シンプルながら、丸みのあるフォルムがかわいらしい。
■ギャラリー・喫茶 まらなた
<喫茶・食事処>
TEL:098-958-2003
営業時間:11:00~18:00(予約可)
定休日:年中無休
<ギャラリー>※喫茶に併設
営業時間:9:00~19:00
定休日:年中無休
ギャラリー森の茶家
こちらもやちむんの里の中にある、読谷山焼の窯元、金城明光氏のギャラリー兼カフェ。メニューはオーナー夫妻がつくった器で出してくれます。ユニークで遊び心あふれる作風が気に入って、ギャラリーで購入していく人がたくさんいるという人気店。
読谷産食材を使ったフードや甘味がいただけます。こちらはさっぱりした甘さのぜんざい。歩き回った後の休憩にぴったりの一品。
自慢のコーヒーは、蓋にストローを挿す口もある独創性にあふれた陶器で出してくれます。
■ギャラリー森の茶家
TEL:098-958-0800
営業時間:12:00~19:00(季節により変動あり)
定休日:不定休
※工房見学は外からのみ可
読谷食堂 ゆいまーる
やちむんの里から車で5分ほど。読谷村で制作したやちむんや琉球ガラスなどの工芸品、さらに特産品などを展示・販売している読谷村共同販売センターに併設されています。メニューは、沖縄そばやチャンプルーなど定番の沖縄料理から、定食・丼物などバリエーションが豊富。単品だと400円~と、かなりリーズナブルです。
素朴なたたずまいですが、店内は高い天井にテーブル席と座敷があり、お子さん連れでも十分くつろげる広さです。
人気ナンバーワンのソーキそば。大きなソーキと、さっぱりした出汁が好評とのこと。フーチバーのじゅーしー(ヨモギの炊き込みご飯)がついているのも魅力。メニューはすべてやちむんの器で出されます。
■読谷食堂 ゆいまーる
住所:読谷村座喜味2723-1
TEL:098-958-6719
営業時間:11:00~16:00
定休日:木曜
その5.その他、知っておくべきやちむんの里のこと
クレジットカードは使えるの?
ほとんどのギャラリー・工房で利用できますが、中には現金払いのみのところも。念のため現金を用意し、清算前に確認しましょう。
何時頃に行けばいい?
営業時間内ならいつ行っても大丈夫ですが、17頃に閉店する店舗もあります。じっくり器選びをするなら早めに訪れたほうが良いかもしれません。朝は9:30~。
交通アクセス
■やちむんの里
住所:読谷村座喜味2653-1
TEL:098-958-6494(読谷村観光協会)
営業時間:9:30~17:30
定休日:不定休(盆時期休、12月31日~1月3日休)
備考:共同駐車場有
- 車の場合
那覇空港から国道58号線→県道12号線を使い約30km/約1時間(一般道利用) - 路線バスの場合
那覇バスターミナル(ゆいレール旭橋駅から徒歩3分)から20番(名護西線)系統、もしくは120番(名護西空港線)系統の路線バスで約1時間10分。「親志入口」で下車、徒歩10分にてやちむんの里到着。
おわりに
職人の誇りを感じる作品を、気軽に見て購入できるのがやちむんの里。のんびり散策して、お気に入りのやちむんを見つけてください。沖縄に来たら、ぜひ一度は伝統工芸にふれてみて。もっと沖縄のことがわかるようになり、好きになるはずですよ!