皆さまご存知のとおり、沖縄は南の海に浮かぶ小さな島。
面積でいえば、離島を合わせても東京都よりちょっと大きいくらいです。
そんな南の島・沖縄には、泡盛の蔵元が47もあるって知っていましたか?
“沖縄の美味しいモノ”を語るうえでは、外すことのできないお酒「泡盛」。旅行の際には楽しみにしている人も多いはず。
今回は数ある蔵元の中でも、ちょっと珍しい泡盛を造っている「ヘリオス酒造」の見学へ行って来ました!
自然とともに歩んできた蔵元で、うまい酒と泡盛の奥深さに出会う、大人の沖縄旅スタートです。
<もくじ>
1.「ヘリオス酒造」ってどんなトコロ?
2.工場見学へ行ってみよう!
3.お楽しみの試飲タイム
4.「ヘリオス酒造」見学方法&アクセス
5.緑豊かな自然と香り豊かな泡盛
1.「ヘリオス酒造」ってどんなトコロ?
沖縄本島・北部の名護市許田にある「ヘリオス酒造」は、自然に囲まれた静かな酒造です。
泡盛に限らず、酒造りに欠かせないのが“おいしい水”。
ヘリオス酒造の工場がある許田は、昔から名水の地と呼ばれていたそうです。
緑の森を背景に建つ赤瓦の大きな建物が、製造工場と蔵になります。この風景を見ただけでも、なんだか酒好きの血が騒ぐ・・・。
工場見学では、実際に泡盛の製造工程や歴史、蔵の様子まで見学できるとのこと。最後には試飲会もあると聞いて、さらにテンションが上がります。
ちなみに、ヘリオス酒造の工場見学は無料です!太っ腹!
それでは早速、工場見学へ出発しましょう♪
2.工場見学へ行ってみよう!
ヘリオス酒造の工場見学は毎日実施されていますが予約制です。(※詳細は後記参照)
見学の流れは下記のとおり。
【見学内容】:所要時間 約60分
■泡盛製造工程の説明&製造工場見学
↓
■古酒蔵見学&上映会
↓
■試飲
まずは、ひときわ大きな建物「製造工場」に潜入します!
製造工場の扉の向こうで最初に出迎えてくれたのは、銀色の大きなタンク。そして、こっくりした甘酸っぱい香り。
とりあえず泡盛の製造工程をざっくり説明すると、発酵→蒸留→熟成といった感じになります。製造工場では発酵から蒸留までを行っているそうです。
銀色のタンクの正体は発酵を行うための「発酵タンク」でした。タンクの中で2~4週間かけて米を発酵し18~19度のアルコールに変化させます。
この発酵過程で大活躍しているのが、泡盛の要「黒麹菌(くろこうじきん)」です!
実は泡盛も日本酒も焼酎も『米に麹を付けて発酵させる』という工程に、それほど大きな違いはありません。
それでも全く違うお酒になるのは、麹の違いによるところが大きいのだとか。そう、泡盛の力強い香りは黒麹菌の活躍があってこそ。
さらに付け加えると、黒麹菌は南国沖縄での酒造りに適しているとのこと。というのも黒麹菌は発酵過程でクエン酸を出すので雑菌が入りづらく、ほかの麹と違い暑さに強いため。
発酵タンクの上面が灰色っぽくなるのも黒麹菌の特徴なのだそうです。
『この建物の壁が黒いのも、全部黒麹菌なんですよ』(ガイドさん談)
工場に漂う甘酸っぱい香りは黒麹菌が頑張っている証拠だったんですね!
そして壁がやたら黒いのも黒麹菌だったんですね!
ホントにすごいぞ黒麹菌!
ひとしきり黒麹菌のパワーに感動したところで、次の工程へ移動。この工程では発酵でできた「もろみ」から泡盛を取り出していきます。
ここでヘリオス酒造の真価(その1)が発揮されます!
それが県内唯一の銅製蒸留器。
その何がスゴイのか、再びざっくりと説明します。
『どんな蒸留器で蒸留するか』によってお酒の味は変化します。泡盛では横型蒸留器が主流の中、あえての縦型&あえての銅製。
これが他にはないヘリオス酒造だけの泡盛ができる理由の1つです。
実はヘリオス酒造はもともと洋酒造りからスタートしている一風変わった蔵元です。
そのため洋酒造りのノウハウがあちらこちらにあり、ヘリオス酒造ならではの製法が追求されているのです。
蒸留の工程を経ると、アルコール度数は44度になり「泡盛」と呼ばれるようになります。が、これで完成ではありません。
次は泡盛造りで最も時間のかかる工程、熟成です。
ここでヘリオス酒造の真価(その2)!
一般的に甕(かめ)やタンクで熟成することが多い泡盛。ヘリオス酒造ではこの2種類に加え、樽(たる)での熟成も行われているのです。
厳選されたオーク樽を使って熟成させることで木の香りが移り、キラキラした琥珀色の泡盛が出来あがります。
ここにも洋酒造りの技術が活かされているんですね♪
ということで、樽熟成の工程を見学しに「二の蔵」へ。この蔵では3~15年かけて、泡盛をじっくり熟成をさせていきます。
蔵にズラリと並んだ樽は圧巻。酒好きにとっては絶景!
現在、蔵全体をあわせると、なんと2,600樽も貯蔵されているそうです。
いまいちその“すごさ”が分からない場合は、25mプールでまるまる2杯分ほどの泡盛があると想像してください。
そんな蔵にあっても目を引くのが、美しい彫刻が施された大きな樽。
100年間熟成させるための樽は『100年後も平和な世界であり続けるよう』願いを込めて造られたそうです。
私たちがこの泡盛をいただくのは難しいそうですが、未来の沖縄でみんなが笑って泡盛を飲む姿を想像すると、なんだか幸せな気分になりませんか?
3.お楽しみの試飲タイム
見学のクライマックス、蔵での上映会を終えるころには、もう泡盛が飲みたくて飲みたくて我慢できなくなっていることでしょう。
ということで、お待ちかねの試飲タイムです!
ヘリオス酒造にはお土産ショップ内に試飲コーナーがあり、ヘリオス酒造自慢の“うまい酒”を心ゆくまで試飲することができます♪
このとき、是非とも試していただきたいのが、甕仕込の「ぬーし」と樽仕込「くら」の飲み比べ。
味・香り・見た目まで違う。その面白さもさることながら、どちらも美味しすぎて止まらなくなる!奥深さを知ったあとに味わう泡盛は、うまさも倍増です。
『ドライバーだから飲めない・・・』というアナタもご安心を。
今回の取材にご協力いただいたヘリオス酒造の山城さんに、オススメ&人気のアイテムを聞いてきました!
■くらクース(30度)
ウイスキーのような甘く華やかな香りが特徴。
深い余韻が楽しめるのに飲みやすい。泡盛ビギナーや強いお酒が苦手な人にも◎。
山城さんオススメの飲み方はハイボール!
■くらブラック三年古酒(25度)
泡盛好きな人なら絶対オススメ。
樽熟成ならではの香りをたっぷり楽しめる1本です。お酒好きの人へのお土産にもどうぞ。
■ヘリオスの手造り黒糖梅酒(alc.14%)
泡盛仕込みの梅酒。黒糖と泡盛の最強タッグでこっくりまろやか。
梅酒好きにはもちろん、お土産にしたら女性からの評価右肩上がり間違いなし。
そしてヘリオス酒造といえば忘れちゃ行けないクラフトビール!
一般的なクラフトビールと違い、クセが少なくスッキリとした飲みやすさが特徴。
■ゴーヤーDRY(alc.5%)
食事とも良く合うヘリオスを代表するビール。
ゴーヤーのスッとした苦味が心地よくクセになります。インパクトもあるのでお土産にも◎。
■青い空と海のビール(alc.5%)
バイツェンらしい芳醇な香りが特徴。デザートビールとしてもオススメ。
普段あまりビールを飲まない人にも試して欲しい1本です。
4.「ヘリオス酒造」見学方法&アクセス
ヘリオス酒造の工場見学は予約制です。
予定が決まったらメールorファックスで申込みをしましょう。当日の見学も受付可能ですが、その場合は電話で確認を。
ちなみに見学は1人からでもOK!
そのほか詳しい見学の実施時間などは下記ホームページをご確認ください。
【詳細情報】
■住所:沖縄県名護市字許田405
■TEL:0980-50-9686
■受付:9:00~17:00
■見学時間:(1)10:30~ (2)13:30~ (3)15:00~ (4)16:30~
■定休日:年中無休(※年末年始・悪天候時は休み)
■HP :http://www.helios-syuzo.co.jp/docs/inspection.html
【アクセス】
[那覇空港から沖縄自動車道を経由する場合]
沖縄自動車道終点、許田ICまで。
許田料金所を過ぎたら「部瀬名岬・伊武部」方面へ左折、国道58号線へ。
国道58号線を許田方面へ進み、ヘリオス酒造の看板が見えたら右折。
[名護市内・許田方面からの場合]
国道58号線を恩納方面へ。
沖縄自動車道入口を過ぎて少し走ると右手にヘリオス酒造の看板があるので左折。
※ヘリオス酒造の周辺は集落となっています。
狭い道を通るので、車のスピードを落とし運転には充分に注意してください。
またカーナビで検索する際は住所で検索してください。
5.緑豊かな自然と香り豊かな泡盛
沖縄の美しい自然に囲まれた蔵元には、心も体も幸せにしてくれる贅沢なお酒がありました。先人たちが残してくれた沖縄の宝と、うまい酒を追求し続ける蔵元の情熱に感謝しつつ、なんだかすっかりほろ酔い気分。
取材の最後、泡盛が大好きだという山城さんにヘリオス酒造の魅力について聞いてみました!
『工場見学は、実際に泡盛を造っている現場で、その香りを体感できるのが魅力です!樽が並んだ古酒蔵は見学の目玉。ヘリオス酒造ならではの風景と香り、それに試飲もたっぷり楽しんでくださいね!』
沖縄が誇る美味しいお酒、泡盛。
アナタもその豊かで力強い香りに酔いしれてみてはいかが?