「オオゴマダラ」という蝶をご存じですか?
オオゴマダラは沖縄の県蝶に指定されていて、羽を広げると13㎝~15㎝にもなる日本最大級の蝶。
寒い時期(12月~2月)以外はオオゴマダラがふわりふわりと飛んでいるのを見かけることができます。
オオゴマダラが空を舞う姿は、羽毛が空から落ちるようでとても優雅で、「南の島の貴婦人」と呼ぶ地域もあるそうです。
また蛹の時には金色に光り輝き『見たものに幸福を届けてくれる』とも言い伝えられています。
そんな日本最大級のオオゴマダラを、蝶になるまで育ててみました!
めだつ模様の理由、金のサナギになる理由、優雅に飛ぶ理由についても調べてみましたよ!
1.目立つ模様をしたツノのある幼虫
2.金色の蛹(さなぎ)へ
3.日本最大級の白いまだら模様の成虫
4.オオゴマダラを見られる場所
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1.目立つ模様をしたツノのある幼虫
まずは、オオゴマダラの幼虫を探しに行きました。
オオゴマダラの幼虫は「ホウライカガミ」という毒のある草だけを食べて育つため、ホウライカガミのある場所へ向かいます。
今回は首里城近くの公園へ向かいました。首里城公園の中にはホウライカガミが植樹されているので、首里城公園内でもオオゴマダラを見ることができますよ。
公園に着くとすぐ、ちょうどホウライカガミに卵を産み付けている蝶が!
オオゴマダラの成長のペースは以下の通り。卵→幼虫→蛹→成虫になるまで約1か月ほどですが、その間に大きく姿形を変えます。
状態 | 大きさ | |
---|---|---|
0日目 | 卵が生まれる | 2mm |
4日目 | 孵化 | 4mm |
↓ | 幼虫 | 約5㎝ |
24日目 | サナギになる | |
36日目 | 成虫になる | 13~15㎝ |
今回は元気な幼虫を4匹連れて帰りました。
オオゴマダラの幼虫は、身体全体は黒に白の縦縞、身体の両サイドには赤い斑点が並び、そして、頭側に6本、お尻側に2本、黒い細長いツノとかなり目立つ見た目をしています。
天敵の鳥などに食べられないように、枝や葉の色に似た幼虫が多いのに、どうしてこんなに目立つ模様なんでしょうか?
それは、オオゴマダラの幼虫が食べている「ホウライカガミ」に毒があることが関係しています。
毒のある葉を食べた幼虫は、自分の身体の中にも毒を持ちます。
なので、「僕には毒があるよー!食べちゃダメだよー!」と”毒々しい”見た目で警戒しているそうです。
幼虫はものすごい勢いで葉っぱを食べ、脱皮を繰り返しどんどん大きくなります。
新鮮な葉っぱしか食べないので、青々としたホウライカガミの葉っぱを準備しておきます。
2.金色の蛹へ
幼虫になってから20日前後、身長が5㎝位になれば、蛹への転換期。
蛹になる頃になると、動きが遅くなりジッとし始めます。
そして、頭を下にしてお尻を糸で飼育カゴや、枝にくっつけてぶら下がるのです。
この形になって1日経つと、脱皮が始まり蛹になります。
モゾモゾと器用に動いて皮を脱ぎ、中からオレンジ色した物体が出てきます。
次の日には、黄色と金色の間くらいのきれいな蛹になっていました。
日が経つにつれて、どんどん金色に光り輝いていきます。これくらいまで金色が濃くなります。
オオゴマダラの蛹は、どうして金色なのでしょうか?
主にこの3つの理由ではないかと言われています。
① 「毒を持っているから食べないでね!」アピールのため(警戒色)
② 鏡のように反射して周りにとけ込み、見つからないようにするため(保護色)
③ 鳥は金属色を嫌うため
調べてみると②の理由の信憑性が高そうです。
人の目では金色に目立って見えますが、鳥や昆虫の目では決して同じではありません。
鳥や虫の目の見え方では、金ピカの蛹ではなくて、
『周りの景色を反射している見つけにくい蛹』なのではないかということです。
特に森の中など木漏れ日が射しているところでは、蛹は景色にとけ込んでしまうのですね。
3.日本最大級の白いまだら模様の成虫
蛹になってから11日目になると、羽の部分でしょう。濃い緑っぽい黒が浮き出てきました。
12日目の朝になると、完全に蛹から出てきました。
身体はまだ芋虫のようにプックリとしていて、羽はシワシワ。
1日しっかり羽を乾かすと、羽も伸びて翅の模様がキレイに出ました。
さて、オオゴマダラの翅が大きく、優雅に飛ぶ理由とは。
その理由もやはり『毒』にあります。
幼虫の時に食べたホウライカガミのおかげで、オオゴマダラは成虫になっても体内に毒を持ちます。
毒のおかげで鳥などに捕食されにくくなったため、大きく成長したそうです。
そして、目立つ模様で優雅に飛ぶことで、『毒』を持っている事をアピールをしているのだとか。
※触るだけであれば危険はありませんのでご安心を!
オオゴマダラは一度に100〜180の卵を産みますが、幼虫になれるのは2%しかいないそうです。
そこから成虫になれるのは・・・自然界は厳しいですね。
オオゴマダラの羽は光を通すと透き通ってとても綺麗なんです。
無事にそだったオオゴマダラは、青い空に向かって元気よく飛んで行きました!
長生きしてまたどこかでバッタリ会えるといいなー。
4.オオゴマダラを見られる場所
沖縄では昔から、蝶は生きている人を守ってくれたり、魔力を払うといわれ、赤ん坊の産着や扇子、着物などに描かれてきたそうです。
それを聞いてからオオゴマダラがふわりふわりと飛んでいるのを見ると、なんだか不思議な感じがします。
そんな神秘的なオオゴマダラを、実際に沖縄で見てみたいと思いませんか?
偶然にバッタリ出会うのも素敵ですが、確実に出会える場所もたくさんありますよ。
ぜひ会いに行ってみて下さいね!
オオゴマダラに会える場所in沖縄
沖縄平和記念公園 清ら蝶園
■住所:沖縄県糸満市摩文仁
■料金:無料 ■駐車場:有
■TEL:098-997-3011
■URL:http://www.okinawakyoukai.jp/publics/index/30/
漫湖公園のちょうちょガーデン
■場所:漫湖公園管理事務所横
■料金:無料 ■駐車場:有
■TEL:098-951-3239
■URL:https://www.city.naha.okinawa.jp/shisetsu/kankyo/gakusyunature.html#cmschocho
てだこ蝶ハウス
■場所:沖縄県浦添市仲間1-9 (浦添美術館近く)
■料金:無料 ■駐車場:有(浦添市カルチャーパーク駐車場)
琉宮城蝶々園
■場所:沖縄県国頭郡本部町山川390-1
■料金:大人(16歳以上)500円 子供(3~16歳未満)250円 ■駐車場:有
■TEL:0980-48-3456
■URL:http://www.ryugujo.net/user_data/park-house.php
熱帯ドリームセンタービクトリア温室
■場所:沖縄県国頭郡本部町石川424番地
■料金:大人760円 小人無料 ■駐車場:有
■TEL:0980-48-2741
■URL:https://oki-park.jp/sp/kaiyohaku/inst/38/40
OKINAWAフルーツランド
■場所:沖縄県名護市為又1220-71
■料金:大人1000円 小人600円 ■駐車場:有
■TEL:0980-52-1568
■URL:https://www.okinawa-fruitsland.jp/
※臨時休業中
石垣島空港の光庭
■場所:南ぬ島石垣空港内
■料金:無料 ■駐車場:有
■TEL:0980-87-0468
■URL:https://www.ishigaki-airport.co.jp/spend/fun/lightcourt.html
おわりに
オオゴマダラを育ててみて、3回も身体を変化させて生きていこうとする生物の命の強さに驚かされました。
長い年月をかけて沖縄の恵まれた自然環境の中で、美しく大きく成長したオオゴマダラ。
優雅に堂々と沖縄の青空の下を飛ぶその姿を、ぜひ見に来てください。
オオゴマダラと出会うことを、旅の楽しみの一つにして頂けたらと思います。