『その土地のスーパーに行けば、真の姿が見えてくる!』―――生きていくために欠かすコトのできない食料品や日用品が集まるスーパーは、そこに住む人々の文化や歴史を如実に語るのだ。
ということで、沖縄好きの皆様こんにちは。夫の一大決心によって、沖縄へ移住した移住妻です。早いもので気がつけば移住2年目に突入しました。
沖縄の空気にも慣れ、大抵のコトは『まぁ、こんなもんでしょ』と動じなくなってきた今日この頃。
が、しかし!そんな移住妻がいまだにカルチャーショックを受ける場所。それが「沖縄のスーパー」なのです!
ちょっと不思議な“オキナワン・スーパー 魅惑の世界”をアナタものぞいてみませんか?
(※記事中の出来事は全て事実ですが、あくまでも移住妻の視点から感じたものですので、あしからずご容赦くださいませ)
<もくじ>
1.泡盛の圧勝!?リカーコーナー勢力図
2.ガロンの秘密
3.消費量は日本一!ツナ缶の真実
4.沖縄のお米はカタイ
5.沖縄文化の百科事典
6.発見あるある!オキナワン・スーパー
1.泡盛の圧勝!?リカーコーナー勢力図
移住前から沖縄のお酒「泡盛」が大好きな夫&妻。
“沖縄に移住→沖縄といえば泡盛→いつでも泡盛が飲める!”という単純明快な思考のもと、移住早々ワクワクしながらスーパーへ行くことに。
夫:『リカーコーナー行こう!リカーコーナー行こう!』
妻:『行こう、行こう!きっといっぱい泡盛あるはずだよ♪』
夫:『本土のスーパーだと、あっても2~3種類だしね。レアな泡盛もあるのかなぁ』
某大手スーパーのリカーコーナー着。
夫&妻『っ・・・?!(言葉を失う)』
夫:『・・・コレは・・・現実なのか・・・』
妻:『棚全部が泡盛!』
夫:『・・・何という圧倒的な存在感!』
妻:『これが沖縄!』
説明しよう。
沖縄のリカーコーナーには、とにかく泡盛がたくさん置いてある。
はるか昔から沖縄の人々と苦楽を共にしてきた泡盛の歴史を考えれば、ある意味で想像通りなのだが、それにしたって物量がハンパないのだ!
多少の違いはあれど、県内のスーパーにおけるリカーコーナーの勢力図はだいたい上記のとおり。もう焼酎や日本酒の存在感の薄さったらない。
ちなみに、お土産屋さんよりスーパーや酒屋さんの方が、同じ泡盛でも1~3割ほど安く購入することができる。自分用の泡盛を購入するならおすすめ。
泡盛のみならず、リカーコーナー全体の“気合い”の入り方に、お酒大好きな沖縄県民の片鱗を見る妻なのでした。
2.ガロンの秘密
皆様ご存知のとおり、戦後の沖縄は政治・文化・生活など、あらゆる面でアメリカの影響を強く受けてきました。
お次は、そんな沖縄の歴史が垣間見えるエピソードをご紹介。
ある日の買い物中。
妻:『あっ、牛乳買わなきゃ』
夫:『そうそう、沖縄の牛乳って本土とはちょっと違うって気がついてた?』
妻:『え、そうなの?!』
夫:『パックの表記よ~く見てみると分かるよ』
妻:『?』
夫:『内容量のとこ』
妻:『っ!!1リットルじゃない・・・だと?!』
夫:『沖縄の紙パック飲料は946ミリリットルが定番なんだよ』
妻:『なんて中途半端!』
夫:『それはね、戦後のアメリカ統治下の名残で“ガロン”って単位をもとにしているからで、946っていうのは・・・ナンヤカンヤ(語る夫)』
妻:『ひどい・・・だまされた・・・(聞いてない妻)』
説明しよう。
別に妻は「ひどいコトをされた」ワケでも「だまされた」ワケでもない。
沖縄ではいわゆる“1リットルパック”級の牛乳やジュースが946mlで売られているコトがほとんどなのだ!スーパーに限らず、コンビニのプライベートブランドなどの紙パックも同じく946mlで売られている場合が多い。ちなみに500ml紙パックは473mlで売られている。
これは、戦後の沖縄がアメリカ統治下にあったときの名残。
当時、工場に導入された機械や容器がアメリカ製であったため、アメリカで使われている「ガロン」という単位が基準になったのだとか。
946ml=1ガロンの1/4。一見すると中途半端に見える946という数字には、そんな深い事情が隠されていたのだ。
戦争という歴史がこんな身近なモノにまで影響を与えているコトに驚き、改めて沖縄の歴史や文化そして沖縄に生きる人々について知りたいと思う妻なのでした。
3.消費量は日本一!ツナ缶の真実
テレビ番組などですっかり定着した“県民性”というワード。
自分が普通と思っていたコトが他県から見ると珍しかったり、逆に意外な共通点があったり・・・話のネタとして事欠かきませんよね。
そんな県民性が色濃く出るジャンルが「食文化」。知ってのとおり、沖縄にはユニークな食文化がたくさんありますが、そのうちの1つをご紹介。
妻:『サンドイッチの具は何がいい?』
夫:『久々にツナマヨ食べたいね!』
妻:『じゃあツナ缶を買おう』
夫:『ツナ缶♪ツナ缶♪ツナ・・・か・・・ん・・・?』
妻:『?』
夫:『妻、大変だ!ツナ缶が・・・“箱”で売られている!』
妻:『!!』
説明しよう。
沖縄の家庭料理ではツナ缶をよく使う。おにぎりやパンの具材としてはもちろん、ゴーヤチャンプルーに代表される「炒め物」や、沖縄の炊込みご飯「ジューシー」、ときには味噌汁にだってツナを入れる。
これらの料理には、味付けやダシの代わりにツナ缶をそのまま豪快に投入するのだが、これが不思議とハマる。沖縄に住めば住むほど、いつしかツナなしじゃ『ものたりない』と感じるカラダに変化していくのだ!
そんな沖縄県民に愛されているツナ缶。スーパーでは12缶入りの箱で売られている。
メジャー商品のマ○ハやハゴ○モのツナ缶も同様で、本土でよく見かける3個パックやバラ売りは、所在無さげに棚の端っこに追いやられている。
ツナ缶を求める人々の買い物カゴに目をやれば、1箱では飽き足らず2箱、なんなら3箱買っているコトも。
まぁ、これだけ食べていれば全国消費量も1位になるよね、と思わず納得する妻なのでした。
4.沖縄のお米はカタイ
『沖縄のお米はカタイ』。
といっても米の品種についての話ではありません。期待されていた米生産者の皆様ごめんなさい。
お次は、いまだ(個人的に)解明されていないお米のミステリーについて。
妻:『実家から送ってもらったお米がなくなりそうなので、今日は沖縄のお米を買いましょう!』
夫:『沖縄のお米、楽しみだね~』
米コーナー着。
妻:『コレは一体どういうことか!?』
夫:『なぜ、こんな姿に!!』
夫&妻:『ほとんどのお米がカチカチの真空パックで売られている!』
説明しよう。
沖縄のスーパーではお米がカチカチの真空パックで売られていることが多い。
叩けば“コンコン”と音がなるレベルの圧縮具合で、いざという時には身を守る“タテ”になってくれそうな頼もしい姿。
『輸送途中での、お米の割れを防ぐため』
『沖縄ではお祝いなどでお米を送る習慣があるため』
など、沖縄のお米がこの姿になった理由は諸説あるようだが、真相はいまだ闇の中。お米の真空パック事情に詳しい方がいましたら、是非ご教授くださいませ。
真相はどうであれ、美味しいお米を“キレイに粒がそろった状態”で食べられるコトを嬉しく思う妻なのでした。
※後日談※
真空パックの状態でお米が販売されている理由について、読者様より「高温多湿な沖縄においてお米の劣化を防ぐため」とお教えいただきました。ありがとうございます!
5.沖縄文化の百科事典
沖縄には1年を通して様々な行事や節句・慣習があり、今でもとても大切にされています。
『沖縄の行事を知れば沖縄がわかる』と言われるほどで、県外出身の移住妻には馴染みのないモノもたくさんあります。
そんな県民の生活に根付いた沖縄文化は、生活に根付いたスーパーに足を運ぶとその一端を知ることができるんです!
【年明けのスーパー】
妻:『なんか特設コーナーができてるね』
夫:『ムーチーフェアだって』
妻:『モチ粉とか蒸し器がいっぱいあるよ』
夫:『ムーチーの予約受付中だって』
妻:『あの・・・ところでムーチーってなに?』
※ムーチーの日
旧暦12月8日は、無病息災を願って餅(=ムーチー)を食べ厄払いをする日。
ムーチーの日の前後には、月桃の葉に包まれたムーチーが惣菜コーナーを占拠する。手作りする家庭も多いため、材料や道具などを売る特設コーナーができることも。
【ある春の日のスーパー】
妻:『なんか特設コーナーができてるね』
夫:『シーミーフェアだって』
妻:『果物がいっぱい!』
夫:『カマボコとか、妻が好きなクンペン(沖縄の伝統菓子)なんかもあるよ』
妻:『本当だ。・・・重箱にプラカップ、レジャーシートも。あっ!わかったピクニック?』
夫:『違う違う。シーミーっていうのはね―――(以下略)』
※清明祭(シーミー)
「清明の節」と呼ばれる時期に、家族や親戚がそろって先祖のお墓参りをする日。
豪華なお供えをするとともに、墓前にレジャーシートを敷き先祖と一緒に食事をするというのが特徴。
数ある沖縄の祖先祭祀の中でも一大イベントの1つ。
【ある日の惣菜コーナー】
妻:『今日の夕飯はお惣菜で手抜きしちゃおう♪』
夫:『沖縄らしい惣菜あるかな~』
妻:『ねぇねぇ、やたら“デカイ”オードブルとかあるけど、何人家族用なんだろ?』
夫:『“モアイにおすすめ”って書いてあるよ』
妻:『なんだって?』
夫:『“モアイにおすすめ”だって』
妻:『・・・(イースター島とか渋谷にあるヤツのことか!?)』
※模合(モアイ)
沖縄特有の相互扶助の慣習のこと。
同級生や職場・地域などでグループを作り、模合が行われるごとに一定のお金を出し合い、メンバーが1人ずつ順番にそのお金を受け取っていくシステム。
金銭的な目的だけでなく「みんなが集まるきっかけ」という側面も、模合が大事にされている理由。
さて、まとめて説明しよう。
繰り返しになるが、沖縄には独特の行事や節句・慣習がたくさんある。そして、そのどれもが沖縄県民のライフワークとして大切にされているのだ。
そのため、スーパーには行事ごとに必要なアイテムが並び、店内放送でも『グッズを売ってるよ!』としきりにアピールする。
つまり、スーパーに行けば『今、沖縄でホットな行事』が手に取るように分かるというわけだ!毎日の買い物をしているだけで、沖縄の文化を知ることが出来る。スーパーはまさに生きた百科事典のような存在なのだ。
新しい沖縄の慣習を知るたびに、また1つ“うちなんちゅ”に近づけた気がする妻なのでした。
6.発見あるある!オキナワン・スーパー
『その土地のスーパーに行けば、真の姿が見えてくる!』
というコトでお送りしてきました、移住妻の沖縄あるある話いかがでしたでしょうか。
ご紹介しきれませんでしたが、生活必需品を扱うスーパー“だからこそ”の面白い発見や驚きは、実はまだまだたくさんあります。
よく知っているはずのスーパーも、文化や風土が違えばちょっとしたテーマパークに!沖縄文化に興味がある人はもちろん、旅行の話題作りにもオススメですよ♪
きっと楽しい発見がいっぱいあるはず・・・。
それでは、また。
移住妻でした!
筆者:mochiking