内部には大きなカボチャ型の鍾乳石がある、通称「パンプキン鍾乳洞」。
この鍾乳洞を守るための協定「保良クバクンダイ鍾乳洞保全利用協定」が2022年に沖縄県の認定を受けました。
こちらの記事では、この協定が定められた理由や認定を受けたことで
今後何が変わるのかをまとめてお伝えします。
パンプキン鍾乳洞」保全協定認定で何が変わる?
「保良クバクンダイ鍾乳洞」とは?
保全利用協定ができた理由
新しくできたルールとは?
まとめ
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「パンプキン鍾乳洞」保全協定認定で何が変わる?
「保良クバクンダイ鍾乳洞」とは、宮古島の南東エリアにある、限られた時間帯だけ洞窟への入り口が開く、珍しい鍾乳洞。内部には大きなカボチャ型の鍾乳石があり、別名「パンプキン鍾乳洞」とも呼ばれています。
2022年、「保良クバクンダイ鍾乳洞保全利用協定」が沖縄県の認定を受けました。これは、宮古島の「鍾乳洞を守る」ことを目的とした協定。
この協定には、8つの事業者が協定締結を行っています。
※保全利用協定は、協定区域を使用する事業者数の過半数が締結することで有効となります※
〈締結事業者〉
・有限会社アイランドワークス
・青色のシーズン
・合同会社わーら
・有限会社タイド
・Oceans21
・REEF KNOT
・カヤックやまちゃん
・SEA ENJOY
この協定ができるまで、鍾乳洞に入るにあたり明確なルールは定められていませんでした。そのため様々な違反行為が行われ、同時に環境破壊が進むことに……。また、人命に関わる事故が起きてしまう可能性もありました。
この協定について、ぜひ宮古島を訪れる観光客の皆さんにも知っていただきたいと思います!
「保良クバクンダイ鍾乳洞」とは?
「保良クバクンダイ鍾乳洞」とは、限られた時間帯だけ洞窟への入り口が開く、珍しい鍾乳洞。内部には大きなカボチャ型の鍾乳石があり、別名「パンプキン鍾乳洞」とも呼ばれています。
「保良クバクンダイ鍾乳洞」は、 地元では昔から“御嶽”として大切にされており、祈りをささげる大切な場所。鍾乳洞の内部にはつらら状の鍾乳石や石柱があり、とても幻想的な空間が広がっています。「竜宮の神が宿る」という言い伝えもあり、宮古島でも指折りのパワースポットなんです!
保全利用協定ができた理由
そもそも、この協定はなんのために作られたのでしょうか?
まずは、その理由について5つの観点からご説明します!
理由①:サンゴを守るため
鍾乳洞の中には、サンゴの岩場が広がっています。観光客が無遠慮に踏み荒らすことで、サンゴが壊されてしまう危険性が。また、鍾乳洞のある海域は古くから良い漁場としても知られています。しかしサンゴが破壊されることで、魚も近寄らなくなってしまうのです。
実は、数年前に宮古島に台風が来なかった年があり、サンゴ礁が白化してしまうということがありました。長年をかけ、少しずつサンゴが復活してきています。やっと戻ってきたサンゴを守るためにも、ズカズカと踏み込んでしまうことはNGなのです。
理由②:鍾乳石を守るため
鍾乳洞とは、石灰岩の地層にできる鍾乳石がある洞窟のこと。つらら状に垂れ下がるもの、地面から生えているように成長するものなど、鍾乳石には様々な形があります。
環境にもよりますが、鍾乳石は100年で1㎝ほどしか成長しないと言われています。つまり、鍾乳洞が今のような状態になるまで、気の遠くなるような年月がかかっているのです。きちんとした知識を持たずに鍾乳洞に入ると、気付かず鍾乳石を折ってしまう危険性があります。
理由③:粘土層「クチャ」が無断で採取されることを防ぐため
「クチャ」とは、沖縄でしか採取できない貴重な天然泥岩のこと。カルシウムやミネラルなどが豊富に含まれており、美容効果があると言われています。
保良クバクンダイ鍾乳洞の壁面にもクチャが付着しており、観光客や業者が無断で持ち帰ってしまう違反行為が多発しています。
理由④:禁止されている場所で写真を撮る人がいるため
保良クバクンダイ鍾乳洞は、地元住民にとってとても大切な場所。御嶽として崇拝されており、祈りをささげる神聖な場所です。
鍾乳洞内部には、聖域として写真撮影が禁止されているスポットがあります。知らずに撮影することで、この場所を守っている人の気持ちを踏みにじってしまうことに繋がります。
理由⑤:洞窟内での事故を防ぐため
保良クバクンダイ鍾乳洞の入り口は、海の中にあります。中に入れるのは限られた時間だけ。つまり、時間帯によっては入り口が海水でふさがれてしまうのです。
これまで、潮が満ちて入り口がふさがれたことで洞窟から出られなくなり、海上保安庁が出動するという事故が起きたことがあります。また、最悪の場合は波に流されて行方不明になってしまう可能性も……
きちんとした知識を持たずに入ることで、命に関わる事故につながる可能性があります。
上記5つの理由から、自分たちだけで洞窟に行ったり、締結事業者以外のツアーを使ったりすることはやめるようにしましょう!
保良クバクンダイ鍾乳洞のツアーに参加する際は、利用しようとしている業者は締結事業者に入るのか?事前に確認することがおすすめです。
新しくできたルールとは?
では、「保良クバクンダイ鍾乳洞保全利用協定」が制定されたことでどんなルールができたのでしょうか?あらかじめ知っていただきたい、代表的なルールについてご紹介します!
●1日あたりの最大入場人数が80名までに
これまでは1日の入場人数に縛りはありませんでしたが、この協定が制定されたことで「全事業者合計で80名まで」に制限することになりました。繁忙期でも立ち入りを一定に保つことで、安全なツアー催行を実現。そして観光客の皆様にもルールを周知しやすくなります。
●ガイド1人あたり、案内できる人数は8人まで
NPO法人沖縄カヤック・カヌー協会(OKCA)で認定されたガイドだけがツアーを行うことができ、さらに1回のツアーで案内できるのは8人までという制限が敷かれることになりました。
●ツアーは必ずカヤックかSUPを使用
徒歩だと道中の珊瑚礁が傷つけられてしまうため、カヤックかSUPを使うことが義務づけられました。
●洞窟内は撮影禁止
鍾乳洞内は神聖な御嶽です。そのため、洞窟内は全面的に撮影が禁止となりました。写真撮影は、出入り口付近のみOKとなります。
まとめ
上記に記載の理由からも、協定に参加している業者を選ぶ=宮古島の環境を守ることに直結することが分かるでしょう。鍾乳洞ツアーに参加する際は、ぜひ締結事業者のツアーをお選びくださいね!
宮古島は、鍾乳洞はもちろん、貴重な観光資源がたくさんある場所。この協定は、そんな貴重な自然を守るための第一歩となるものです。私たち事業者がルールを守ってツアーを催行したうえで、観光客の皆様にも是非、取り組みを知っていただければと思います。