沖縄で「グスク(城)」が築かれ始めた時期は12世紀末ごろ、本州では鎌倉時代初期の事です。各地の有力者「按司(あじ)」が支配拠点として築きはじめ、やがて沖縄本島は北山・中山・南山の三大勢力が並び立つ「三山時代」を迎えます。その後、琉球によって統一されひとつの国となるのです。
沖縄県内には今も多くの城跡が残り、当時の歴史ロマンを今に伝えています。なかには世界遺産に登録されているものもあり、沖縄の歴史や文化を語るうえで欠かせない存在です。今回は、歴史に思いをはせながら巡れる、沖縄の代表的な城跡を見ていきましょう。
1.三山時代を代表する名城跡
┗今帰仁城跡(世界遺産)
┗浦添城跡
┗玉城城跡
2.三山統一から琉球王国誕生
┗首里城跡(世界遺産)
┗座喜味城跡(世界遺産)
3.王国を揺るがした内乱
┗中城城跡(世界遺産)
┗勝連城跡(世界遺産)
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1.三山時代を代表する名城跡
沖縄で多くの城跡が築かれた12〜15世紀ごろにかけての時代は、一般的に「グスク時代」と呼ばれています。グスク時代から数多くの勢力争いを経て、北山・中山・南山の三大勢力が台頭する「三山時代」に。争いと統治の歴史のなかで、以下のような多くの名城が誕生しました。
今帰仁城跡

かつて北山王が君臨し、中国との交易で栄えた今帰仁城跡(なきじんじょうし)。1416年に尚巴志に滅ぼされた後も、監守の拠点として歴史を繋いできた北部の要衝です。地形に沿って波打つように続く、全長約1.5kmの美しい城壁が特徴で、現在は世界遺産「琉球王国のグスク及び関連遺産群」の一つに登録されています。1月〜2月には桜まつりが開催され、ライトアップされた幻想的な夜桜を眺めることができますよ。
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- 住所
- 沖縄県国頭郡今帰仁村字今泊5101
- TEL
- 0980-56-4400
- 営業時間
- 8:00~18:00ただし5~8月は19:00閉園(入園締切は閉園30分前)
- 備考
- <料金>大人1,000円/中・高校生)500円/小学生以下無料
浦添城跡

浦添城跡は、首里以前の王都として、舜天・英祖・察度の三王統が200年余りにわたり拠点を置いた地。中山の拠点は浦添城から首里城へと移すのですが、首里城の原型ともいわれ、琉球初期の歴史が息づく重要な拠点です。最大の見どころは、崖下に広がる王陵「浦添ようどれ」。夕凪を意味する名の通り、静寂に包まれた石積みの荘厳さは圧巻です。市内最高地点にある奇岩「ワカリジー」からは、東シナ海を望む大パノラマが広がります。近年はライトアップも行われ、夜空に浮かび上がる聖地の姿が多くの人を魅了していますよ。
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- 住所
- 沖縄県浦添市仲間山川原
- 備考
- アクセス:ゆいレール 県庁前駅(国際通り)~浦添前田駅 片道340円 約21分
車でお越しの場合は浦添城跡駐車場の利用がおすすめです。
玉城城跡

玉城城跡は、琉球創世の神アマミキヨゆかりの地とされ、国家安泰を願う国王が巡礼の終着点として訪れた聖地です。第二次世界大戦後、城壁の多くは失われましたが、自然の岩山をくりぬいた独創的な城門が今も天空にぽっかりと口を開けています。別名「太陽の門」とも呼ばれるこの門は、夏至の朝に太陽の光が貫き、生命の誕生を想起させる幻想的な姿を見せるのが特徴。門の先に広がる太平洋の雄大な眺望や、久高島を望む圧倒的な開放感は必見といえるでしょう。
- 住所
- 沖縄県南城市玉城444
2.三山統一から琉球王国誕生
15世紀初頭、中山の尚巴志は北山・南山を統一し、琉球全土を支配下に置きました。この「三山統一」により琉球王国が誕生。交易を中心とした繁栄の基盤が築かれ、沖縄の歴史は新たな時代へと進みました。ここでは、琉球王国誕生後に築かれた名城を見ていきましょう。
首里城跡

琉球王国の王宮である首里城は、政治・祭祀の最高拠点でした。西を正面とする独特の配置や意匠は、東アジアとの深い交流を物語り、2000年に世界遺産へ登録。現在は火災からの再建が進み、2026年秋の正殿完成に向けた「見せる復興」が進行中です。最大の見どころは、2025年10月に素屋根が解体され、再び姿を現した艶やかな正殿の外観。漆塗りの柱や龍頭棟飾など、職人技が光る復元の「今」を体感できるのは、まさに今だけの特別な旅の景色です。
- 住所
- 沖縄県那覇市首里金城町1-2
- 営業時間
- 8:30〜19:00(無料有料区域および時期ごとに異なります。詳細はHPにてご確認ください。)
- 備考
- 料金:大人400円、高校生300円、小中学生160円、6歳未満無料
座喜味城跡

15世紀初頭、築城の名手であり琉球王国の重鎮であった護佐丸が築いた軍事拠点 座喜味城跡(ざきみじょうあと)。山田グスクから移り、高度な建築技術を注ぎ込んで完成させた、琉球屈指の名城として知られています。見どころは、アーチ式ダムのように波打つ優美な曲線の城壁。他のグスクには見られない「くさび石」を用いたアーチ石門は、唯一無二の精巧な造りです。標高120mの丘からは、読谷村を一望することができます。
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- 住所
- 沖縄県中頭郡読谷村字座喜味708番地6
3.王国を揺るがした内乱
三山時代を経て琉球王国が成立した後も、王国の権力基盤は決して安定したものではなく、その影響は沖縄各地の勢力争いにも及びました。その代表的な争いが、護佐丸・阿麻和利の乱。ここからは両雄の宿命が刻まれた二つの名城、中城城跡と勝連城跡をご紹介します。
中城城跡

黒船で来航したペリー提督が「賞賛すべき構造」と絶賛した中城城跡。第二次大戦の戦火を奇跡的に免れ、沖縄のグスクの中で最も原型を留めていることで知られています。最大の見どころは、琉球石灰岩を積み上げた芸術的な城壁。場所によって「布積み」や「あいかた積み」といった異なる技法を使い分けた、名将・護佐丸の高度な築城技術を間近に観察できます。高台に位置するため、城内の各所から海を一望することができます。
- 住所
- 沖縄県中城村泊1258
- 営業時間
- 8:30-17:00 5~9月は18:00まで
- 備考
- 料金:大人500円、中・高校生300円、小学生200円
勝連城跡

名も無き身分から按司まで上りつめた阿麻和利の居城として名高い勝連城跡。阿麻和利は貿易によって勝連を王都・首里に匹敵するほど繁栄させ、さらなる下克上をもくろみ護佐丸を策略によって滅ぼした野心家でもあります。そんな激動の歴史舞台となった勝連城の最大の見どころは、丘陵の自然な地形を活かした5つの郭と、波打つように優美な曲線を描く石灰岩の城壁。日本本土よりも約100年早く始まった石造り城郭の、力強さと洗練を兼ね備えた建築美は見逃せません。
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- 住所
- 沖縄県うるま市勝連南風原3807-2
- 営業時間
- 9:00-18:00(最終受付17:30)
- 備考
- 料金(勝連城跡含む)大人850円小人550円※常設展のみの場合は大人600円小人300円
4.おわりに~城から遺跡へ~

かつて沖縄の各地で政治や防衛の拠点として機能していたグスクは、1609年の薩摩侵攻をきっかけに大きな転機を迎えます。琉球王国は薩摩の支配下に置かれ、多くの城は役割を失い、次第に廃城となりました。現在残る城跡は、そうした歴史の変遷を今に伝える貴重な遺産です。時代の面影を感じながら巡ることで、沖縄の奥深い歴史に触れることができるでしょう。











